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お皿や水差しなど、ピカソが製陶工房と協力して生み出したセラミック作品を多数収蔵。 建物の壁や床、案内サインにもセラミックをあしらった、ぬくもりあふれる美術館です。
表参道駅から少し歩いた閑静な住宅街にたたずむヨックモックミュージアム。「シガール」で知られる洋菓子メーカー、ヨックモックの会長
藤縄利康さんが館長となり、プライベートミュージアムとして2020年にオープンしました。約500点に及ぶコレクションの中心はパブロ・ピカソのセラミック(陶芸)作品で、藤縄さんが長い時間をかけて精選してきたものです。ピカソといえば絵画を思い浮かべる方も多いと思いますが、藤縄さんは「洋菓子メーカーとして、食と親和性の高いセ
ラミックのお皿に興味を持ちました」と語ります。
ピカソが陶芸にのめり込んだのは65歳以降の晩年といえる時期でした。長くつらい戦争が終わり、恋人とバカンスに出かけた先の南フランスで、信頼のおける製陶工房と出会ったことがきっかけになったそうです。このころのピカソは、明るく楽しいテーマの作品を数多く生み出しました。
地下1階の企画展示室は黒い壁に囲まれたシックな
空間で、一つひとつの作品にじっくり向き合えるつくり。現在開催中の「ピカソのセラミック―モダンに触
れる」展では、ピカソの制作風景を記録したカラー映像も上映しています。一方、2階の常設展示室は日差しが
降りそそぐ明るい室内に色彩豊かな作品が並びます。自然光のもとでピカソ作品を楽しめる希少な空間で、くつろぎながらご鑑賞してみてはいかがでしょうか。
1950年に制作された「踊り子と楽師たち」。異なる面で見方が変わる高さ70cm以上もある大型の花瓶は迫力たっぷり!パブロ・ピカソ《踊り子と楽師たち》A.R.114-B 1950 ⓒ2023-Succession Pablo Picasso-BCF(JAPAN )
常設展示室の一角にあるフォトスポット。ピカソの愛用品と近い型のイスに座って記念写真をどうぞ!
カフェやミュージアムの利用者が自由に使えるライブラリーも併設。
展覧会を楽しんだ後は、中庭に面 したカフェでひと休み。カフェのみの利用もできます。ケーキとドリンクのセット1,100円(写真は2 名分)。
セラミック作品の美 術館だけに、案内サインにもセラミックを使用。手づくりならではの温もりが、空間にも広がっていきます。
「ピカソのセラミックは、眺めるだけでワクワクできるところがお菓子と似ていて、親しみを感じます」と、館長の藤縄さん。
南仏をイメージして建てられました。屋根はヨックモックカラーのブルー。
住所:港区南青山6-15-1
開館時間:10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は開館)、年末年始、展示替期間
入場料:一般1,200円、中・高・大学生800円、小学生以下無料
アクセス:
東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道」駅徒歩約9分