ここから本文です。
子どものびのび書展は、子どもの発想力を大切にした自由な書道作品展です。
赤坂区民センターでは、力作ぞろいの応募作品264点すべてを展示します。
みなとパーク芝浦では、のびのび賞・Kissポート賞・ふれあい賞の入賞作品30点を展示します。
【展示期間】
赤坂区民センター(3階 文化情報コーナー):
3/6(木)~3/20(木・祝) 9:00~21:00
全応募作品展
みなとパーク芝浦 (1階 アトリウム) :
3/25(火)~4/4(金) 8:00~23:00
入賞作品展 ※最終日は12:00まで
※
上記の開館時間は変更の可能性があるため、時間についてはお問い合わせください。また、赤坂区民センターは3/10(月)・16(日)が休館日のためご覧になれません。なお、みなとパーク芝浦での展示期間については変更になる可能性があります。
【問合せ】
Kissポート財団 広報・事業推進課 TEL 03(5770)6837
審査風景
今回も「のびのび書展」の審査を担当させていただきました。
いつも楽しい作品が沢山出品されるこの書展の審査はとても楽しみです。
ある保育園からの多数の出品ありがとうございました。未就学児のご指導はさぞかし大変でしたでしょう。
半紙作品にも立派な筆遣いの作品が沢山ありましたが、大きな紙に太い筆で元気よく書いたものや、絵の具を使ったもの、絵を書き加えたもの、やはり目立ちました。ぜひ一度、大きな紙に太い筆で元気よく書いてみてはどうでしょう。楽しいですよ。
今年も新年にふさわしい華やかな書を拝見でき、光栄に思います。例年に比べ、大きな画仙紙にのびのびと書かれた作品が多く、墨を筆の根元までたっぷり含ませ堂々と表現されており、選ぶのに時間を要しました。出品数も例年を上回り、書に取り組む子どもたちが増えていることを嬉しく思います。これからも、子どもたちの自由な発想と表現力がさらに育まれることを期待しています。
今年の「子どものびのび書展」には、3歳のお子さんから小学校6年生まで264作品の応募がありました。作品は、力強いものからかわいらしいものまで、さまざまな個性豊かな「子どものびのび書展」にふさわしいものがそろいました。審査していて大変楽しませていただきましたし、来年も多くのお子さんが参加してくださることをお待ちしております。
この書展の趣旨にふさわしい、形・書き順等にとらわれない自由でのびのびした作品、味のある作品
作品 | 名前 | 学校・園名 | 学年 |
---|---|---|---|
ママすき | 佐々木 彩花 | 芝浦アイランドこども園 | 6歳 |
心 | 谷本 唯 | しばうら保育園 | 6歳 |
崖の上のポニョ | 渡邉 駿登 | 青山小学校 | 1年生 |
しゃぼん玉 | 小野寺 五葉 | 芝浦小学校 | 2年生 |
祭音踊楽遊ドンドコどん | 村岡 朔太郎 | 白金の丘小学校 | 3年生 |
大福 | 二ノ坂 葵 | 赤坂小学校 | 4年生 |
蛇・蛙(蛇に睨まれた蛙) | 野口 晃希 | 慶應義塾横浜初等部 | 4年生 |
楽 | 柳沢 栞里 | 高輪台小学校 | 4年生 |
マグロ丼 | 山口 彩愛 | 芝浜小学校 | 5年生 |
巳 | 皿谷 実千 | 港南小学校 | 6年生 |
上手な作品、秀作
作品 | 名前 | 学校・園名 | 学年 |
---|---|---|---|
正 | 椎尾 真子 | 高輪台小学校 | 1年生 |
生 | 柴村 阿弥 | 淑徳小学校 | 2年生 |
子いぬ | 髙木 郁 | 早稲田実業学校初等部 | 2年生 |
山ざくら | 石田 紗彩 | 東京農業大学稲花小学校 | 3年生 |
氷河 | 塩谷 亮介 | 白金小学校 | 3年生 |
サーモン | 山口 桜華 | 芝浜小学校 | 3年生 |
平和 | 黒田 笑莉菜 | 芝小学校 | 4年生 |
美しい山 | 大塚 琴実 | 白金小学校 | 4年生 |
希望の朝 | 野地 美緒 | 白金小学校 | 5年生 |
夢の実現 | 石橋 遼 | 芝浦小学校 | 6年生 |
のびのび賞、Kissポート賞に準ずる
作品 | 名前 | 学校・園名 | 学年 |
---|---|---|---|
つくし | たかはし まなな | 港南幼稚園 | 4歳 |
いちねんせい | 椿 結香子 | 飯倉保育園 | 6歳 |
げんき | 海野 咲百合 | 芝浦小学校 | 1年生 |
はごいた | 深尾 櫻 | 東京女学館小学校 | 2年生 |
正月 | 堀越 裕太郎 | 学習院初等科 | 3年生 |
黒猫 | 叶 梨婭 | 高輪台小学校 | 4年生 |
世界平和 | 椎尾 清匡 | 高輪台小学校 | 5年生 |
希望の朝 | 柴村 笑瑠 | 白金小学校 | 5年生 |
ケセラセラ | 高野子 優花 | 港陽小学校 | 5年生 |
隋東宮學士 | 髙木 紗希 | 早稲田実業学校初等部 | 6年生 |
毎年多くの作品を審査していただいている書道家の先生方に、本書展に携わる思いをお聞きしました。
各賞によって審査のための視点は変わります。「のびのび賞」は、とにかくアイデアいっぱいで、自然と笑みがこぼれるようなところをポイントに作品を選ぶようにしています。それに対し「Kissポート賞」は、古来の書道の原点でもあるように、美しい字形、正しい筆遣い、余白の使い方を重視しながら、選出するようにしています。
書は白と黒の世界という概念でいましたが、審査依頼をお受けした当時、色つきの作品に驚きました。ただ、コロナ禍を境に色つきの作品が若干減少し、子どもの元気さが心なしか少なくなったように感じます。
画面に出てくる活字の字形に疑問を感じている昨今です。日本人が作ったひらがなは、漢字を原点に作ったものですが、画面の中の活字に少し異なった字形があります。活字をそのまま書いていることと、筆順を理解できていない子どもさんがいることが気にかかります。手書きの大切さを改めて見直して、今後にのぞんでほしいと思います。
これまでの「中国の北魏や唐の時代の漢字を中心に学び、それを自身の書作に活かしてきた」経験をもとに、審査基準を設けています。ポイントとして、まずは墨の量の多さを重視。さらに、線の力強さ、余白と文字のバランスといった要素を総合的に評価しています。また、[のびのび]というテーマが特徴的な本書展ですので、このテーマにふさわしい自由で個性あふれる作品を選ぶことも心がけています。
20年ほど前、私自身の子どもが出品した際の作品と比べると、表現方法に違いがみられるように思います。当時は国際色豊かで、その国の挨拶を大きな紙に書で表現し、のびのびと自分の気持ちを形にした作品が多く見られ、筆を持つ事自体を楽しんでいる様子が伝わってきたのを覚えています。現在では豊富な情報量の影響からか、自分が関心を持ったテーマを深く追求し、書という道具を使って奥深い表現を試みる作品が増えてきました。そんな姿から、子どもたちの表現力の多様化を感じています。
最近、ワーキングホリデーでノルウェーに滞在している方が、半紙、墨、筆を持参し、現地でワークショップを開き、書道を通じて現地の方々と交流しているという話を聞きました。こういう活動は、書という文化が人と人をつなぐツールになりえることを示しています。
幼い頃から書道に触れることは、大人になったときに自身の世界を広げる手助けになるかもしれません。本書展が今後も続き、子どもたちに出品のきっかけを与えることで、未来を切り開く第一歩になるなら、それは非常に意義深いことだと感じています。